かいた汗を素早く逃す吸水性&速乾性に優れたサイクルジャージ。
ですが他の衣類に比べて、臭いが気になると思ったことはないでしょうか?
洗濯しても臭いが残る問題、実はその吸水性&速乾性にこそ原因があるのです。
今回はサイクルジャージに残った気になるニオイを根こそぎ取り除き、爽快なサイクリングを実現する洗濯方法を紹介します。
Written by ハナ(洗濯ラボノート/Yahoo! JAPANクリエイターズ)
サイクルジャージに残る臭いの原因
サイクルジャージだけでなく、吸水性や速乾性を謳った機能性ウェアは、薄手の素材にもかかわらず内部は複雑な多重構造になっています。
肌に近い層は繊維が太く、外側に向かって細い繊維の層へ、という具合に、何重にも重なっているんです。
太い繊維から細い繊維に水分を吸い上げる「毛細血管現象」が起こり、汗を素早く繊維の外に発散させることができるという仕組みなのですね。
たくさん吸った汗は水分だけが素早くウェア外に放出され、繊維の中には油脂がべったりと残ります。
その生地に残った脂分が、洗っても消えないしつこいニオイの原因!
機能性ウェアは、この油脂をしっかり落とす必要があるんです。
サイクルジャージを洗うのに適した洗剤は?
ちなみに、臭いの原因になる皮脂や油脂は酸性の汚れ。
しっかり落としたい場合は、逆の性質を持つ弱アルカリ性の洗剤を使えば問題解決です!
…なのですが、少し気を付けなければならない点があるのが難しいところ。
サイクルジャージやスポーツウエアの洗濯表示をみると、三角に×がついたマークがついているものがほとんどです。
これは「漂白剤は使用できない」という意味のマーク。
弱アルカリ性の洗剤は、洗浄力を重視するものが多く、漂白剤入りのものが多いのです。
おまけに弱アルカリ性の洗剤には、蛍光増白剤が含まれる場合も多くあります。
蛍光増白剤(蛍光剤)は白い衣類をより白く洗い上げるためのもので、簡単に言うと白く見える塗料を衣類に塗るようなイメージ。
なので、カラフルなサイクルジャージに蛍光剤入りの洗剤を使うと、白っぽく色が抜けたように見えてしまいます。蛍光剤には注意が必要です!
お気に入りのサイクルジャージを長く美しく着たいのであれば、漂白剤も蛍光剤も無添加の洗剤をチョイスするようにしましょう。
サイクルジャージの洗濯に柔軟剤は使わない
柔軟剤はコーティング剤が繊維の表を覆うことで滑りをよくする仕組み。
サイクルジャージや機能性ウェアの場合、せっかくの吸水&速乾機能をコーティング剤で覆ってしまうことになり、機能を低下させてしまいます。
よっぽど静電気が気になるという以外は使わないほうがよいです。
サイクルジャージを洗うのに適した洗剤
サイクルジャージを洗うのに適した洗剤は、弱アルカリ性で漂白剤・蛍光剤・柔軟剤を使っていない洗剤となります。
サイクルジャージに最適な洗剤一覧です。
粉末洗剤
P&G「ボールド」
液体
LION「トップ クリアリキッド抗菌 部屋干し用」
LION「トップ クリアリキッド」
P&G「アリエールBIO 微香」
花王「アタックZERO」
アタックZEROは汚れ落ちがよくないと言われる中性洗剤ですが、花王独自の「バイオIOS」という新しい界面活性剤は水に溶けやすく、油にも馴染みやすいんです。
中性でありながら弱アルカリ性に負けない洗浄力なのでサイクルジャージの洗濯におすすめです。
※ 成分が予告なく変わる場合があります。購入の際は裏面の「成分表」をお確かめください。
ただ、柔軟剤が使えないとなると、やっぱり消臭に不安が残りますよね。
そんな場合は洗剤にプラスして使う便利なアイテムがあります。
ニオイ問題に本当に効くのは「逆性石けん液」
ニオイ問題を解決する最終兵器、『逆性石けん液』。
石けんという名前がついていますが、洗浄力はなく殺菌剤となります。
汗臭だけでなく、体臭、加齢臭、部屋干し臭など、イヤなニオイの原因は雑菌です。
洗剤にも抗菌を謳ったものはありますが、ついてしまった雑菌を取り除くのはとても難しいんです。
そんな雑菌を幅広く殺菌してくれるのが「逆性石けん液」です。
逆性石けん液はドラッグストアで500円ほどで購入できます。
エタノールとか精製水なんかと同じ棚にあるはず。
製品名は ・ベルコニン液P ・オスバンS ・サニテートTGなど
怖そうな外見と名前ですけど、水に薄めてうがい薬に使ったり、食器の消毒にも使えるので、多少なら口に入っても問題ありません。
逆性石けんはニオイの原因になるあらゆる雑菌を元から断つので、効果は絶大!
洗ったあとは「洗濯洗剤」の良い香りだけが残って気持ちいいですよ。
本当に、柔軟剤の香りが混ざらない洗濯洗剤だけの香りがすごく良いんです!
トレーニングウェアや靴下などにも、臭いが気になる方は是非使ってみてください。
消臭効果や色褪せについて、もっと詳しい解説はこちら
では、逆性石けんの使い方も合わせて、サイクルジャージの正しい洗い方を紹介していきます。
サイクルジャージの洗濯方法
サイクルジャージの洗濯で抑えておきたいポイントは3つ。
- 予備洗い
- 消臭
- 洗浄
汚れも臭いも気にならない場合は、最後の洗浄だけでOKです。
では、実際に洗っていきます。
泥と油を「予備洗い」
まずは予備洗い。
泥はねや油汚れが衣類についた時は洗濯前に必ず予備洗いをしてください。
特に泥ハネは最初に水で洗ってしまうと、落とすのが難しい汚れになってしまうので要注意!
泥はねの予備洗い
泥はよく乾かしてから、歯ブラシなどで泥を払っておきます。
これが泥がついてしまった状態。
慌てて水で洗ってしまうと、細かいドロが繊維の奥にまで入っていって、逆に手強い汚れとなってしまいます。
必ずブラシで表面の泥を落としてから洗うようにしてください。
泥を落とさずに水で洗うと、繊維の奥まで泥だらけ!
油汚れの予備洗い
油汚れは固形石けん、もしくは食器用洗剤がよく汚れを落とします。
洗剤を直接ヨゴレにつけて…
歯ブラシなどでこすり洗いします。
目立った汚れが取れたらよくすすぎ、次は消臭作業です。
逆性石けん液で「消臭」
消臭には先ほどの逆性石けん液を使います
- 逆性石けん液を水で500倍に薄める
- ニオイが気になるサイクリングジャージを浸け込む
- よくすすいでから、通常の洗濯をする
サイクルジャージに限らず、素材がポリエステルなどの化学繊維なら浸け込み時間は6時間。
綿素材なら2時間を目安に浸け込みます。
朝起きてから6時間浸け置きするのは大変なので、予備洗いと浸け置きは寝る前に。
朝起きてからすすいで、通常の洗濯という流れがスムーズです。
洗濯機に浸けおき洗いコースがあれば、全て洗濯機で作業できるので楽ちんですね。
通常洗濯で「洗浄」
予備洗いと消臭が終わったらいよいよ洗濯です。
ここからは普段の洗濯とあまり変わりません。
サイクルジャージは、ほとんどの場合は洗濯機で洗えます。
一部洗えない素材もありますので、まずは洗濯表示マークをチェック。
このマークがついていたら自宅では洗えませんので、クリーニング店に持ち込むようにしてください。
肌に触れる衣類は裏返しにして洗うと皮脂汚れが落ちやすいですが、表面が汚れている場合は、表面を上にして洗濯ネットに入れます。
特にポリエステルは細かい毛玉ができやすいので、必ず洗濯ネットを使ってください。
- 洗濯機の通常コースで洗う
- すすぎは2回
- 脱水は短く(1分ほど)
- 柔軟剤は使わない
中性洗剤でもアルカリ洗剤でも、すすぎは2回で念入りに。
吸水性&速乾性をうたった機能性ウェアの場合、洗剤が衣類に残ってしまうと特徴である多重構造の外側を塞いでしまい、吸水性と速乾性が失われます。
洗濯機の設定は通常洗いコースでOK。
設定できるなら脱水は短く1分ほどにしておくと、衣類のダメージが減らせます。
速乾機能で早く乾きますし、脱水が短くても生乾き干し臭の心配はありません。
陰干しでしっかり乾かせれば仕上がりです。
日陰でも色褪せが心配だという方は、裏返しにして干すとさらに安心です。
サイクルウェアの効果的な洗濯方法おさらい
- 洗剤は漂白剤や蛍光剤が入っていないものを選ぶ
- 臭いは逆性石けんで元から断つ
- 泥汚れは洗う前にブラシではらっておく
- 柔軟剤は使わない
- 陰干しで色褪せ防止
この5つに注意して洗うと、失敗なく気持ちよく洗いあげることができます。
臭いや汚れをさっぱりキレイにして、お気に入りのウェアで気持ちよく走りましょう!